2016年5月9日月曜日

さかいアルテポルト黄金芸術祭2016

2016年3月11日~21日。
堺ではじめての現代アートの芸術祭「さかいアルテポルト黄金芸術祭2016」を実行委員会として企画し、開催しました。





http://sacayarteporto.com/

堺市堺区の旧市街区環濠内を中心に特徴的な四つのエリアの公共空間・商業施設・神社仏閣・使われていなかった個人の空き家などに20名以上の国内外の現代アーティストによるアートを展開。同時期には30以上の連携企画も開催されました。会期中の来場者はのべにして1万4000名を数え、堺市内外の市民にアートを楽しんでいただきました。

2015年7月31日金曜日

あい情報マガジン

こまった時のケア&サポートブック「あい情報マガジン」の取材・記事作成を担当しました。

「あい情報マガジン」は、ご高齢者やご高齢者とともに暮らすご家族が必要とする地域の情報がつまったフリーマガジンです。




堺市南区版 2015年2月発行

堺市中区版 2015年4月発行

堺市堺区版 2015年7月発行

website:http://i-joho.com/

2015年2月16日月曜日

アクアマージナル~水間今昔アドベンチャー~ARTBOXver



「アクアマージナル」のARTBOXverが完成しました。
ARTBOXは、「ギャラリーいろはに」(堺区甲斐町 山之口商店街内)の壁面に設けられたショーウィンドーを、一個のギャラリーと見立て、町に開かれた現代アートを展示するスペースです。
一年前にスタートしたARTBOXでは月替わりで現代アートの作家たちが意欲的な展示に挑戦してきました。
2015年2月のARTBOXに、「アクアマージナル~水間今昔アドベンチャー~」がインスタレーションに姿を変えて登場します。
■場所:ギャラリーいろはに ARTBOX
■住所:堺市堺区甲斐町東1丁2−29
■期間:2015年2月11日~28日(木曜休廊)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
アクアマージナル~水間今昔アドベンチャー~
ART BOX ver
「アクアマージナル~水間今昔アドベンチャー~」は、2014年秋に開催された「貝塚まちなかアートミュージアム」の一会場である古民家I氏邸一軒を舞台として表演・出品された、パフォーマンス&ライブゲームです。そのエッセンスを抽出し、インスタレーション展示として再構成したのが、「アクアマージナル~水間今昔アドベンチャー~ ART BOXver」です。
作品の背景にあるのは、貝塚の山手地区・水間の古老山本数一さんから伺った水間に伝わる伝説や歴史。そして、戦時中に海軍に志願した少年兵だった山本さん自身の物語です。運命の綾で乗るべきだった軍艦に乗り損ない、そのおかげで戦死を免れた山本さんは「乗れなかったのか良かったのか悪かったのか……」とおっしゃいます。
水間の湿気を含んだ大気と壊れていく美しい文化。そんな物を感じながら出来た作品が「アクアマージナル」です。
ARTBOXver
インスタレーションであると同時にRPGとなっています。
貴方は、童話めいた「夜のくに」にたどり着いた訪問者です。「夜のくに」と服従する「水のくに」の狭間には「アクアマージナル」と呼ばれる不思議な地があり、様々な噂や伝説に惹かれて「アクアマージナル」に行こうとする者があとを絶たないのですが、過去に偉いお坊様がいったっきりで、最近は船も出ていないとか。
ARTBOX中央下にある「START」のパネルからはじめて、選んだ選択肢の指すパネルへ進んでいき、エンディングにたどり着けばゲームは終了です。辿りついたエンディングブックには、ぜひサインを残していってください。






2014年12月11日木曜日

母のくにの花

トラムと町を結ぶインスタレーション作品

与謝野晶子は、少女時代に堺で数多の歌を生みながら、生まれ故郷・堺を去り帰ることはありませんでした。しかし、その帰らざる故郷のことを菜の花に託し、「母のうまれし国美しむ」と詠んだのです。

今、晶子の生家跡を通り、ひとすじの川を渡り行き来するチンチン電車・堺トラム『紫おん』に、インスタレーション「母のくにの花」を展示し、かつて晶子の歩いた町をアートで結ぶイベントやアート展示を開催いたします。

ちんちん電車に揺られてアートを楽しんだ後は、ぜひ停留所を降りて、町の中で生まれるアートを楽しんでください。

★トラム内展示「母のくにの花」
故郷を離れて堺で暮らす人々、働く人々。その「母のくにの花」は......。

■期間:3月1日~3月31日(※トラム運休日を除く)
■場所:堺トラム 紫おん 内にて
■料金:無料(別途 トラムの乗車料金 大人200円 子供100円が必要です)

フライヤー



展示風景




2014年1月1日水曜日

渕上哲也過去の仕事(取材記事関連)

★取材記事
 作家やショップオーナーといった人物インタビュー、企業・団体・イベントなどの取材記事を執筆。テキストの作成、写真撮影(一部は取材先から提供)など、すべてを担当しています。


■人物
 ・「ギャラリーいろはに 北野庸子さん」記事 →リンク
  日本では珍しい企画中心のギャラリー「いろはに」の廊主 北野庸子さん。10年以上に渡るカナダ・ケベックと堺のアーティストたちの交流イベントを開催することになった出会いとは。
 
 ・「Mitsuaki-T* 高田 充晃さん」記事→リンク
  刃物の常識を超越した”カワイイ”ペーパーナイフなど、海外でも高い評価を得るアーティスト高田充晃さんは、職人とは別世界の人でした。関東出身、音楽業に携わっていた高田さんが鉄に魅せられ、刃物の街堺に居を定めたのは何故?


■企業・ショップ
 ・「しぜんバル パプリカ食堂」記事→リンク
  堺東銀座の路地裏にうまれた「しぜんバル パプリカ食堂」。現代人の食生活で不足しがちな生野菜やフルーツを美味しくいただけるばかりか、お酒やデザートまでも! 

 ・「免震工房」記事→リンク
 大地震が起きた時に、あなたは自分の家に安心して居ることが出来るでしょうか? 設計と構造計算に携わって数十年の技術者が、免震と制振の世界に革命を起こし、いよいよ耐震診断の普及に挑みます。


■食文化
 堺の食文化を紹介するwebメディア「&Rice」における取材記事。
 ・「竹山修身市長対談」記事→リンク
 堺市市長竹山修身さんと、「&Rice」プロデューサー樋口恵介さんの対談記事。

 ・「養鶏場 吉田ファームオーナー 吉田行男・妙子」→リンク
 堺市唯一の養鶏場を経営する吉田ご夫妻への取材記事。



★キャラクターもの
 キャラクターの掛け合いによる記事を作成しています。キャラクターメイクとページ内の演出およびテキスト・写真取材すべてを担当しています。
 
■地域探訪
 ・「黄金のまち堺から聖山高野山へ」レポート記事
 2015年で開山1200年を迎える高野山。高野山の入り口である女人堂から堺の大小路まで続く「高野街道」を、両性類のカエルとホモサピエンスのお姉さんが旅する道中記です。

  第1回 堺市役所~萩原天神 前編/後編
  第2回 北野田~大阪狭山  前編/後編
  第3回 金剛~滝谷
  第4回 滝谷~河内長野



※以上の記事(取材記事/キャラクターもの)は、「株式会社つーる・ど・堺」が運営する堺・南大阪の地域情報サイト『つーる・ど・堺』→リンクの「連載こらむ」で執筆したものから一部を抜粋しました。(PN 灯台守かえる)

渕上哲也過去の仕事(ゲーム関連)

★ゲーム関連
 主にメイルゲームあるいはネットワークRPGなど、小説形式のコミュニケーションRPGの企画・運営・世界観・シナリオ・キャラクターメイク・テキスト執筆等に携わりました。他には、テーブルトークRPG、雑誌上の読者参加ゲームなども。


■有限会社P.A.S.(有限会社パーティ・オブ・アミューズメントサービス)
 (有)P.A.S.制作ゲームの内、企画に携わったもの。詳細はリンク先をご覧ください。(※リンクページは随時作成予定)

●アンダーグラウンドチルドレンシリーズ
 ・作品紹介→リンク
 ・監督(フォーチュンテラー)として参加
 ・ショートストーリー →リンク

●クロニクルシリーズ1~3
 ・作品紹介→リンク
 ・監督(フォーチュンテラー)として参加

●ソーフィアーシリーズ
 ・企画に参加

●幻想英雄伝シリーズ1~3
 ・作品紹介→リンク
 ・監督(フォーチュンテラー)として参加

●ぼくらの学園シリーズ
 ・作品紹介→リンク
 ・企画に参加 システム管理、シナリオライティングなどを担当。

●ミッドナイトバスターズシリーズ
 ・企画に参加


■有限会社ホビーデータ
 (有)ホビーデータ制作ゲームの内、企画に携わったもの。

●クレギオン#3「ラストミレニアム」
 ・シナリオ執筆

●クレギオン#4「ロストプラネッツ」
 ・助監督(サブグランドマスター)として参加

●クレギオン#5「バビロンの紋章」
 ・監督(グランドマスター)として参加

●アラベスクシリーズ
●君を信じたい
  企画に参加

●TRPG「毒薬と短剣」

2013年12月6日金曜日

ぁ、キ⊇in土界zo|З

堺在住のクリエイター二人が、
過去の晶子の言葉から「今」を抽出し
現代の堺の風景で再構成したインスタレーションを
堺トラムの車内に展示します。
晶子の時間を超えた普遍的なメッセージを
現代の堺へ投影する作品です。

★インスタレーション展示
■会場:堺トラム車内にて
■会期:堺トラム運転再開次第

★関連展示
12月8日~14日 サンユー都市開発ロビー
12月中旬~金土日開店 あをい屋
               (綾之町東商店街)
12月中旬~ 鳳翔館ウィンドウ

いずれも入場無料(トラム運賃は必要です)





2013年6月7日金曜日

応援し、応援され (春のプラザ祭り)





朝の光を浴びた野菜は、奈良から運ばれてきた採れたての野菜ばかり。
5月の青空の下、堺市立健康福祉プラザ「春のプラザ祭り」に、NPO法人福祉ネットワーク絆は野菜の直送販売で参加しました。

日差しをさけるテントが張られ、ずらりと野菜や加工品が並べられています。
さっそく、テントの中では餅米とヨモギが蒸し上がり、餅つきが始まりました。杵を振るい餅をこねるのは、東吉野村からやってきた加工工場の面々です。使われているヨモギも実は無農薬で育てられた特別なヨモギです。

▲八臼分の餅をつきます。

工場長の岡本さんはヨモギ作りをはじめて13年目になるといいます。
「ヨモギはどこからでも生えてくるんです。それこそその辺りのアスファルトの間からでも」
ヨモギが生えるのは標高にすると海抜0メートルから700メートルと幅広いのですが、味や香りが最も良いのは300メートルから500メートルの間です。
「東吉野村では350メートル地点と、450メートル地点の2箇所でヨモギを育てています。環境汚染もない安全安心なヨモギで味も香りも違いますよ」

つき終えた餅が広げられ、手慣れた作業で自家製のあんこを包みヨモギ餅が完成します。これを一日で8臼分もつくのだとか。

▲「つきたてのヨモギ餅が食べたい!」そんなお客様が沢山いらっしゃいました。



その間にも野菜が売れていきます。宇陀市や天理市の無農薬・有機栽培で旬の菜っ葉類やレタスがオススメ商品です。人気のほうれん草はいち早く売り切れてしまいました。
「オーナーの仕入れミスやな。もっとほうれん草仕入れな!」
笑顔がほころぶ売り場。ですが絆の代表の藤岡さんは出足はそれほど良くはないといいます。
「早いときには午前中で全部売り切れてしまうからね」
今日のような催し物や講演が主体のイベントよりも、日常品を安く購入できるようなイベントの方が野菜市は賑わうのです。



こうして様々なイベントに『絆』が参加するのは「生産者を応援したい、患者を応援したい」という思いからです。

『絆』はNPO法人として自立する術を探し、縁があって奈良の生産者の方々と出会いました。その時、生産者は農産物の売れ残りに困っていたのです。
都市部に住む消費者にとっては、無農薬・有機栽培の野菜がスーパー並みの価格で手に入るのは驚きの限りですが、生産地の道の駅ではだぶつきがちなのです。
「虫食いの野菜なんか見向きもされなかったりします」
生産者のために野菜を販売する機会を増やしたい。
『絆』は「同じ売るなら過疎の村の手助けになれば」と野菜販売をはじめました。イベントでの出店から始まり、今では上野芝の『ショップ絆』の売り上げで、すでに店舗を運営する経費はまかなえるようにまでなったのです。


この日のイベントには、ショップ絆のメンバーや東吉野村から駆けつけた人々以外にもスタッフが加わっていました。その1人がNPO法人 堺難病連の下町勇さんです。

▲堺難病連の下町勇さん。

「堺難病連は『絆』とは別の組織ですが、やっていることは同じだと思っています」
まずは一般の方々に、難病患者の存在や抱えている問題を知って欲しいと下町さんはいいます。
「難病患者は、日本では200人に1人といわれています」
実は身近な存在である難病患者なのですが、病気以外の所でも苦境に立つことが多いのです。

▲ボランティアスタッフと『絆』代表の藤岡さん。

「たとえば就労問題です。難病患者というだけで企業は遠ざける傾向があり、障がい者よりもなお受け入れ先は少ないのが現状です」
そんな現状を知ってもらったり、行政に働きかける活動をするにも難病連の会費だけではまかないきれません。バザーやイベント出店を行い、活動費を捻出しているのです。
ただ活動費だけが目的ではありません。それ以上に大切な意義があります。
「難病患者が社会とふれ合うことが大切だと感じています。ひきこもりがちな難病患者が社会に出てストレスが解放されるんです」
ショップ絆でも、患者自身が販売スタッフとなったり、ヨガ教室で一般の方とふれ合うことによって、社会の一員として自分を感じることが何よりも患者自身の気持ちを大きく変えました。
まさに「絆」があってこそ、なのです。




「春のプラザ祭り」のイベントには、大阪のボランティアもスタッフとして参加していました。ボランティアの方達も「健康プラザの存在を市民に知って欲しい」などの思いを持って協力しているそうです。
『絆』が生産者や患者を応援することを、ボランティアスタッフが応援し、また健康プラザが応援されることにつながっている。
応援と応援の連鎖が循環している。そんな現場の空気が満ちていたイベントでした。

2013年5月6日月曜日

『アンダーグラウンドチルドレンXX』 作品紹介

※渕上哲也が過去に携わった作品について紹介します。


■ゲーム名:アンダーグラウンドチルドレンXX
■運営:(有)P.A.S.
■ゲーム期間:2009年
■ジャンル:近未来の地球を舞台にしたサバイバルRPG。
■概要:
 主人公は、第三次世界大戦……魔界出現後の世界に生まれた特殊存在、魔力を帯びた子供と怖れられる『ダブルチャイルド』。

 世界を救ったデビルが問うた。
 キミは、この世界の半分のヒトが死に絶えた世界で、今、何を求めるのか?


■物語:
 世界を襲った悲劇は、終末の様相を見せていた。
 西暦2032年、世界の陸地の1/4が海底に沈み、人類は総人口の1/2を失った。
 後に魔道大戦(第三次世界大戦)と呼ばれる大異変は、南米の先端に現れた異世界『魔界』の出現により世界の均衡が崩れたことによるものであった。魔界から現れた神話や伝説上の存在でしかなかった悪魔……デビルとの戦争は5年に渡って続き、大戦が人類の疲弊によって終結しても、魔界も悪魔も消えることはなかった。
 世界は、このおぞましい存在を、ここにあるものとして受け入れるしかなかった。『魔界都市エデン』として。
 

■ショートストーリーリスト
 『アンダーグラウンドチルドレンXX』の世界観で発表した作品を掲載します。
 作品1『罠』 →リンク


『罠』 アンダーグラウンドチルドレンXX ショートストーリー1

(お前はこの終末の世界に何を望む……)
 その問いに、自分ならなんと答えるだろうか。
 
 椅子に座っている。
 一人。
 24時間営業のコーヒーショップ。
 労働階層(第五)の巨大ビル群の街角。
 安っぽく繰り返されるヒット曲のリフレイン。
 目の前の、冷たくなった合成飲料入り紙コップ。
 リカオン・ゴトーは、手に握った紙コップを機械的な動作で唇に運ぶ。安っぽい合成飲料の味。
 もう何時間こうしてここにいるのだろう。今日はひさしぶりの、なんの予定もない休暇の日のはずだった。フリーマンなんだから、そんなのはいつだってどうにでも出来るんだけれど、受けることも出来た依頼を断って休日を作ってみた。
 でもリカオンにはどこにも行く当てなんてなかった。一日さまよって、またここに。
 リカオンはデビルの力を駆使できるダブルチャイルドなんだから、PSI(サイ)能力を使えばどこにでもいけるはず。でも、どこにいっても何の意味もなかった。また、ここに戻ってくる。
 唇に運ぶ、紙コップの安い味。
(まったくイヤになる……)
 人が命がけで依頼をこなしてきたのに、なんくせつけてまともに依頼料を払わないクライアント。感謝もせず、犬かなにかのようにリカオンたちを扱うクライアント。……そんな連中ばかりだ。リカオンは、ふっと思うのだ。
(オレは誰かに必要とされているのだろうか……)
 唇に運ぶ、紙コップ……最後のひとしずく。
 ため息を吐いて、リカオンは立ち上がり、店を出た。
 外は、ショッピング街のサザンクロスストリート。
 通りにあふれる暗褐色の人々。黒や灰色のコートを着た人々が、互いの事などなんの関心ももたず行き交うだけ。
 ふと、リカオンは奇妙なPSI波動……いや、妖気のようなものを感じた。
 見ると向こうから歩いてくる親子連れ。その背後から、モールの天井づたいに魔界の生物が近づいている。芋虫に似た人の二倍はある吸血虫。人間の子供の血が大好きと来ている。触手を伸ばし、父親に肩車されている子供に突き立てようとした瞬間、リカオンは動いた。
 体内から取り出したデビルウェポンを一閃。吸血虫はまっぷたつだ。地面に落ちのたうつ芋虫。周囲の人々は悲鳴をあげ逃げ出した。リカオンは、芋虫にとどめを刺す。
「危ない所だったな……」
 救った親子に声をかけようとしたが、親子は返り血をあびたリカオンを見ると、悲鳴をあげて逃げ出した。
「ダブルチャイルドっ!」
(ちっ……オレは化け物か……)
 リカオンは武器を納め、雑踏の中に身を滑らそうとした。その時だ。
{リカオン! そんな所にいたのか}
 いきなり頭に飛び込んできたのは、セツナの【テレパシー】だった。
 セツナは、リカオンと同じフリーマンで、時々一緒にチームを組んで依頼をこなした仲だった。
{今から、そっちに}
「行く」
 といった瞬間には、【テレポート】で、リカオンの目の前に現れていた。
 セツナは緊迫した表情をしている。依頼任務中なのは明らかだった。
「リカオン。キミが断ったロスト事件があったよな」
 この魔界都市エデンでは人々が突然消失する事件が後を絶たない。それは魔界の怪異現象を原因とするももあれば、人為的なものもあるが、それをひっくるめてロスト事件と呼ぶ。
「どのロスト事件。いくつかあったよね?」
 魔界都市の支配者であるアークデビルのルシファーが姿を見せなくなってから、ロスト事件が増えたとも言われている。
 リカオンがそんな噂を口にすると、セツナは首を振った。
「馬鹿な噂を信じちゃだめだよ。いなくなっても、第六階層みたいに、荒野になったりしてないだろ。ルシファーが健在な証拠さ……」
 多くのダブルチャイルドは、魔界都市に人間を受け入れてくれたルシファーの事を大切に思っている。至高のデビルとまで言われるルシファーは、ヒーローでありアイドルでもあったのだ。特にセツナは子供の頃一度ルシファーに直接会って声をかけられたことがある。
 セツナは、事件の詳細を話す。
「あれ、セツナが引き受けていたのか」
「一緒に引き受けていたキャリーのチームがロストした。三人ともだ」
 セツナの言葉にリカオンは驚いた。同じフリーマンをやっているキャリーのチームは腕っこきのチームだ。それがそろってやられるとは。
「リカオンの探査能力を頼りにきたんだ。【クレヤボヤンス(遠隔透視)】が得意だっただろ」
 セツナの言う通りだった。
「場所は、この辺りなのか?」
 リカオンが尋ねると、セツナはこの地区の地図を広げた。
「わかった。さぐってみるよ……」
 リカオンのPSI波動が強くなる。
「……これは……遠くない……いや、近い……同じモールの中に変な空間のゆがみがある……」
 何者かが空間のゆがみをつくり、そこに近づいた者を引きずり込んでいるのではないか? リカオンはそう予測した。
「さすがだな。座標を教えてくれるか?」
 リカオンの読み取った位置をセツナは記憶する。そして挨拶もそこそこに、そちらに向かって【テレポート】しようとするセツナに、
「オレも行くよ」
 とリカオンは言った。
 
 二人が姿を現したのは、ショーウィンドウの前だった。
 小さな女の子がいる。見たところ、小ぎれいな服装をしており、エデンの中でも裕福な家庭の子女のように見える。保護者はいないのだろうか……? 少女は体を動かさず、首だけを真横に向ける。
「……コンニチワ。ワタシ、るいす」
 セツナが近づこうとする瞬間、リカオンは気づいた。
「まて。空間のずれはそこから……」
 少女の顔が糸をひいたように、縦半分に割れた。二人。
 
 割れ目は二人を吸い込むと、空間の自己修復作用で、元通りになった。
「なんだ、これ……おもちゃ屋か……?」
 セツナがあきれたように、見上げた通り、そこは奇妙な空間だった。サイズが異常にまちまちの柱時計の数々や椅子がならべてあるかと思えば、逆さ十字にはりつけられた人形が天井からぶら下げられている。
「この宝箱……変だ……」
 再び【クレヤボヤンス】で周囲をうかがっていたリカオンがトラックほどもある宝箱を見上げて言った。
 セツナはふわりと浮かびあがり、【サイコキネシス】でふたを持ち上げる。中を見たセツナは悲鳴をあげそうになる。
「!……キャリー!」
 宝箱の中にあったのは、鼓動を打つ内臓のような血肉色をした器官と、その狭間に巻き込まれたキャリーたちだった。半ば肉体が溶けているキャリーの口が小さく、「タスケテ……」と動く。
「キャリー!」
 セツナは、だがそれでも冷静だった。つられていた人形が剣を振りかざし、斬りつけてきたのをデビルウェポンで瞬時に受け止めたのだった。
 人形とみえたのは、レッサーデビルに他ならなかった。
「ルイスまたかかったよ。ダブルチャイルド!」
 人形がしゃべると、部屋全体にくぐもった声がする。
「ちょっとデビルの力が使えるからっていい気になっている連中……いけすかない」
 セツナは気づいた。周囲にいるおもちゃと見えたものたちは、全てレッサーデビルが姿を変えたものであったのだ。人形たちが、動きだし迫ってくる。
 あの少女の姿は罠だったのだ。デビルたちが、罠を張り人間狩りを愉しんでいたのだ。
(なんとしてもキャリーたちを助けないと!)
 やれる。この人形たちはさして強くない。巨大な宝箱に近づくリカオン。だが、宝箱のPSI波動が突如高まる。それは、リカオンを遙かに超えるPSI能力だった。波動がフラッシュのように瞬いた。リカオンの視覚が一瞬にして奪われる。
「Aランクのデビルだ。セツナ逃げろ!」
 と、リカオンは叫ぶが、セツナもすでに暗闇の中にいた。声だけが響く。
{まずは目だよっ}
(感覚失調攻撃か……キャリーたちがやられたわけだ。こいつじわじわと相手をおいつめていくタイプだな)
 おそらく、もう同じ場所にはいないだろう。光もない、世界。やみくもに攻撃しても、互いを傷つけ合うのが関の山だ。セツナはリカオンごと、【サイコキネシス】でバリアを張って防備を固めるが、はたしていつまで持つか。
「……おびえているな。子ウサギちゃん。……お前たちの恐怖が俺達の一番のごちそうだよ……ふふ」
 セツナのバリアに、すさまじい圧力がかかる。PSIレベルが違いすぎる。
「俺達の力を使えるダブルチャイルドのくせにその程度か。人間ってのは、ほんとによわっちい生き物だ。なぜルシファー様はこんな生き物との約束を……」
(ルシファー……そうだ。あの日の約束……)
 
 ルシファー。
 それは遠い日の記憶。セツナは、きっとまだ幼い子供だった。どこでだったかは覚えていない。だけど、その人の事は鮮明に覚えていた。
 こんな美しい存在が、この世にいるのかと。褐色の肌に黄金の髪。
「ヒトとは面白い存在だ。ヒトは時折、とてつもない力を生む」
 ルシファーはそう言って、セツナの顔をじっと眺めた。
「セツナ。それがキミの名前だね……キミも私のエデンで暮らすといい……」
 ルシファーはそう言うと、セツナの額を二度指でなぞり、ふっと息を吹きかけた……。
「それがセツナと私の約束の証だ……」
 
 額が燃えるように熱い。
 セツナは顔をあげた。
「約束がある。ルシファーとわたしの間で交わした約束が……」
「嘘をつけ。ルシファー様がヒトなんぞに……」
{またせた。セツナ! 奴の座標を捕らえた!}
 セツナの脳裏に飛び込んできたのは、リカオンの声。
 セツナは、【ディメンションソード(次元刀)】を発動させる。両手ののばした指先から、不可視のブレードがのびる。そして、脳裏に刻んだ座標に、両手の剣をたたき込む。
 手応えあり。
 刃は、レッサーデビルの体をX字に切り裂いた。
 悲鳴があがる。
「……ヒトなぞが、なぜ……こんな、力を……」
「オレ達が強いんじゃない。お前がバカなだけさ」
 リカオンは呟いた。魔力が解け、徐々に視界がもどってくる。足下に転がるデビルの残骸。このデビルたちの方が、リカオンたちよりも強いPSIを持っていた。はなから殺す気でいれば、簡単にリカオンたちを倒せただろう。
 リカオンは、セツナがバリアで必死に耐えている間に、敵のデビルの位置。そして、その急所の位置をさぐっていた。あとは、セツナがあらゆる防御を貫く【ディメンションソード】で始末すればいいだけのことだった……。
 
 サザンクロスストリート。
 デビルの罠からセツナたちは抜け出してきた。あの、罠となった少女は、灰となって崩れていた。灰を見下ろしていたセツナがふと、視線をあげると、ショーウィンドのガラスに、こちらを見ている人影をみつけた。褐色の肌に、金髪の美しい青年。
(まさか、あの人……)
 振り返るセツナ。だが、そこにあの青年の姿はなく、ただ行き交う人の流れがあるだけだった。
(……まさか、ルシファーのはずはない、か……)
 ルシファーなら、絶対に大騒ぎになっているはずだ。単なるセツナの見間違い。思いこみの幻覚のようなもの……そうに違いない。
 
 その後。セツナは、キャリーたち仲間の三人を、デビルの罠から救い出した。だが、キャリー自身は、すでに命を落としていた。残りの二人は、囚われていただけで無傷だったが、キャリーの恋人でもあった一人は、半狂乱で死体にすがりついている。残る一人も呆然としていた。
 デビルの罠には、彼らだけでなく、ショッピング街を訪れていた、親子連れやカップルなどが、たくさん殺されていた。子供を抱きしめたまま死んでいる親。恋人に手を伸ばしたまま死んでいる二人……。
 しばらくその場は騒然としていたが、民間警察であるガーディアンズがやってきて、死体をひきとったり、後処理をしたりして、しだいにストリートはもとの日常を取り戻していく。
 キャリーの死体も、恋人と一緒に、車に積まれていった。残った一人も、少し落ち着きセツナと話していたが、リカオンのもとへやってきた。
「リカオン。助かった。セツナに聞いたがキミがいなければ、俺達は皆死んでいた。キャリーのことは残念だったが……。……俺は、お前のおかげで、娘のもとへ帰れるよ」
「娘?」
「ああ、去年生まれたんだ。可愛いぜ」
 そう言って、彼は笑った。
「じゃあな、リカオン」
 セツナは、賞金を受け取りに行ってくると言ったあと、じっとリカオンの顔をみつめた。
「……?」
「……いや、リカオン。なんだか、変わったような気がした。気のせいだ。気にしないでくれ」
 セツナは、そのまま【跳んだ】。【テレポート】して去っていく仲間たち。リカオンは一人取り残される。
 と、リカオンの視界に、一組の親子連れが見えた。なんだか見覚えがある。そうだ。セツナに声をかけられる前に助けた、あの親子連れだ。
 一日遊んでくたびれたのか、父親の背中ですやすやと眠っている。寝顔があどけない。
(オレはこの寝顔を守れたのかもしれないな……)
 そんな事を思う。親子連れは、そのまま夕暮れの街に消えていく。
(お前はこの終末の世界に何を望む……)
 それは、すべてのダブルチャイルドが突きつけられる、命題。
(平和……。かな。あの親子が、仲間たちが、帰ることができる家がある平和を……)


※このショートストーリーは、メイルゲーム『アンダーグラウンドチルドレンXX』(2009年 (有)P.A.S.)の体験版として発表されたものを、一部加筆修正しました。
『アンダーグラウンドチルドレンXX』シリーズに関しては→リンク

2013年5月5日日曜日

『幻想英雄伝シリーズ』 作品紹介

※渕上哲也が過去に携わった作品について紹介します。




■企画名:幻想英雄伝シリーズ
■運営:(有)P.A.S.
■ゲーム期間:
 ・幻想英雄伝レジェンド・オブ・ロマンシア     2003年
 ・幻想英雄伝フォーチュン・オブ・ギャラクシア 2005年
 ・幻想英雄伝ウィンド・オブ・スターシア      2007年
■ジャンル:スーパーヒロイックファンタジー
■概要:
 主人公は幻想大陸ロマンシアの英雄アンチェイン。
 みずからを束縛する、すべてのものから解き放たれた存在。その名はヒーロー。
 「解き放たれし者」アンチェイン。
 天空に輝く十二の星座に導かれた者たちの英雄譚が幕を開ける!

■物語:
『幻想英雄伝レジェンド・オブ・ロマンシア』
 ・STORY1
 伝説が夢のようにたゆたう大地、幻想大陸ロマンシア。
 この大陸は内海を中央に、西にディアナラント(女神の大地)、東にデモンズラント(悪魔達の大地)、南にロストラント(失われた大地)の三つの亜大陸から構成されていた。

 デモンズラントの絶対支配者、悪魔皇帝シャナ・シャングリラは、配下の悪魔七将軍と悪魔七大軍団に命ずる。
「悪魔将軍達よ、我が死の使者となり、人間(マンカインド)どもを滅ぼし、大地を焼き払うのだ」
 対する人類は、内海の三大国が大陸同盟を結成し、国境線上に巨大な城塞都市スターネストを建造する。城塞都市には数多の英雄たちが集まり、悪魔との決戦を今や遅しと待ち受けている。
 光と虚無が激突する、大戦の幕開けは近い!


『幻想英雄伝フォーチュン・オブ・ギャラクシア』
 幻想英雄伝フォーチュン・オブ・ギャラクシアでは、二つの時代の物語が同時に描かれた。

 ・STORY2 《ギャラクシーエイジ》
 大陸を二分し数百年続いた人類(マンカインド)と悪魔の戦争は終息し、大陸全土で未知領域への冒険が始まった。野を駆ける幻獣と共に魔道列車が蒸気を吹き上げ、悪魔の呪詛に科学の力が対抗する。

 大陸同盟を上回る強大な人類諸国、悪魔帝国に隷属する悲劇のサムライたち。アンチェインが新たな力に目覚める中、悪魔たちも暗黒流星の力を手にする。そして、まったく異質な別世界からの侵略者たちの影が秘かに忍び寄る……。

 誰もが夢を持った。これまでの時代を牽引した守護者【アンチェイン】 、そして数々の新勢力。新たな時代を切りひらく者は誰か!


 ・STORY3 《スターレスエイジ》
 その昔、暗黒時代があり、世界が完全に荒廃した時、光と共に現れたネオカインド(新人類)は一条の光となり、荒野を彷徨うマンカインド(人類)を保護した。
 荒野に浮かぶ銀色のドーム、サイバー都市でネオカインドをヒーローとし、人類は平和に暮らしていた。ドームはネオカインドの最高位ビショップと十人のクレリックの管理のもと、完璧な秩序を保っている……ただ一つの例外を除いて。

 マンカインドの中に時折現れる規格外の存在【突然変異体(エラー)】。社会を乱す怪物、恐怖のまととして排斥される彼ら。もはや誰も知らない。彼らが、はるか別の時代には「星に導かれた存在」とされていたことを……。


『幻想英雄伝ウィンド・オブ・スターシア』
 ・STORY4
 ある日、英雄アンチェインたちのもとに届いた不思議な呼び声。
 それは別世界からの救いを求める声だった。声を聞いた瞬間、異世界ニルヴァーナへと召喚され、召喚主の前に救世主としてアンチェインは立ったのだ。
 十人の召喚主。救世の姫君マヤ・ヤーン、輝ける宙の王子ハイネ、殺戮伯爵ゾーティース、指輪王ソロモン、お嬢様市長フーガ……彼らの望みがアンチェインをニルヴァーナへと誘った。

 ニルヴァーナ世界は、星の海を人々が帆船で渡る広大な世界。人々を繁栄に導いていたはずの星海に破滅の予兆が現れる。しかし、膨れあがった人々の欲望は、終わり無き狂騒へと世界を導いていた。
 星海に呪いの声が響く。
「断罪の時、来たれり。
 爛熟の宴に、聖なる生贄を……」
 『星砕き』の恐怖が蘇る。

 英雄アンチェインによる救世はなるのか。彼らの前に、悪の英雄たちが立ち塞がる!

『ぼくらの学園』シリーズ 作品紹介

※渕上哲也が過去に携わった作品について紹介します。



■企画名:ぼくらの学園シリーズ
■運営:(有)P.A.S.
■ゲーム期間:
 ・ぼくらの学園アドベンチャー    2002年
 ・ぼくらの学園夏休み        2002年
 ・ぼくらの学園アドベンチャー2学期 2003年  
 ・はぴがく               2004年
 ・ぼくらのわくわく大学園祭     2006年
■ジャンル:最強無敵の学園RPG
■概要:
 不思議な力『アート』を持つ少年少女が通う超巨大学園!
 初等部から大学院まで生徒数4万人以上のマンモス校。

 風の吹く丘に建てられた学園。
 自由・博愛・情熱の三つの理念に基づく奇想天外な行事!

 学園特別災害指定少女との出会い。
 幻のメニュー! 毎日が争奪戦の昼休み。

 部活、同好会、委員会、学園非公認の地下クラブ、その総数200以上!
 爆裂の特殊改造研究会。レーザーガンも空母も注文待ち。
 恋愛居委員会vs初恋援護の会!

 恋! 友情! 冒険! そして勉強!? の学園RPG!
 

『クロニクル』シリーズ 作品紹介

※渕上哲也が過去に携わった作品について紹介します。



■企画名:クロニクルシリーズ
 第一夜 『魔物語クロノス・ロージス』
 第二夜 『魔物語エイボス・ニードル』
 第三夜 『魔物語クロニクル・ティアーズ』
■運営:(有)P.A.S.
■ゲーム期間:
 第一夜 1999年
 第二夜 2000年
 第三夜 2001年
■ジャンル:ダークファンタジー
■概要:
 くりかえし、くりかえし語られる魔物語。
 胎内に孕んだ、煌めく残酷童話。
 異世界パンドラのイサス闇王国の住人は、背中合わせに生きる2種類の人類。
 美しき戦闘種族ノーブルと、虐げられながらも生命力溢れる労働階級コモン。

 革命前夜に生まれた愛。
 武装した愛。
 そして、愛が涙する。

 結ばれぬ2人が出会う。


■物語:
 異世界パンドラのイサス闇王国のみが人類に残された版図。
 闇王家を頂点とする戦闘種族ノーブルが支配し、労働階級コモンは圧政に苦しんでいた。

 「薔薇と鎖の都」と称される王都イサスに君臨するは、6人の魔王子と麗しき美姫『イサスの宝石』ヴィ=イサス王女。はたして闇王の位を継ぐ者は誰か。

 一方、ガス灯に照らされた街路からは、3人の革命家が立ち上がろうとしていた。戦争のプロ『泣き鴉』、言葉を武器に戦う『ネモ』、夜の街に生まれた何ももたない女『ローザ』。
 絶望的な戦いに勝ち残る者ははたして……。